Ｉ，m Familiar　
慣れる

　　　◎その状態に長く置かれたり、それをたびたび経験したりして違和感がなくなること。
　　　◎通常のこととして受け入れられるようになること。

　「とくダネ！」の女性キャスターが佐々木恭子アナから中野美奈子に変わった。２００９年４月のことだ。理由は佐々木アナが産休で番組を降板したからだが、正直云って、筆者はずっと中野アナに違和感を感じ続けていた。というのも佐々木アナのなんとも云い難いほのぼのとしたキャラが好きだったし、小倉智昭との息のあったコンビにも慣れ親しんでいたせいだ。

それに見ていて筆者のなかで中野アナと小倉智昭をはじめとする他の出演者とのあいだがスイング（プロレス用語でかみ合わないこと）してないのも明らかだった。そもそも中野アナ自身、はっきり云って、キャスターでありながら、アドリブがへたで冴えない。先ごろ、「めざましＴＶ」を降板し、退社した高島彩と比べれば、その差は歴然だった。

　ところが、あんなに違和感があったのに変わって半年ほどするとそれをあまり感じなくなり、１年も過ぎるとまるでずっと昔から中野美奈子がやっていたかのような錯覚すら覚えるようになっていた。

　それは中野美奈子が２００９年の終わりに「好きな女子アナ」で初の１位を獲得したことにも如実に表れている。

　とくにアドリブがうまくなったというわけではない。小倉智昭とのコンビだって、別に名コンビというわけでもない。

　しかし、違和感はまるで感じないし、あんなに好きだった佐々木アナが懐かしく思えることもまったくなくなった。

　以前（２００７年６月）、滋賀県の近江八幡に行ったあと、永遊記を作り、「鮒寿しも熟れたら、意外と美味しいかも？的写真館」というタイトルを付けさせてもらったが、慣れるということはそういうものだ。

　「郷に入れば、郷に従う」という言葉があり、この言葉は日本だけでなく中国にもある。また「住めば都」という諺もある。

　政権も交代して、すでに１年。

　慣れるのなら、早く慣れたほうがいいだろう。

　　２０１０年１０月１２日