良いことが２０１６年を振り返ってみると、個人としてはほとんどない不調な年であった。まず、何といっても持っていた投資信託が暴落し、５００万円ほど損をしたのが痛かった。投資信託が唯一の財産であり、それから考えても今後の老後の人生設計に大きな狂いが生じることとなった。

　健康状態も優れない。精力が減退し、あっちこっちに持病を抱えている。

　婚活もままならない。あまつさえ、ガーナ女に１０万円ほど騙し取られたりした。

　寡黙に生きる日々が続く。

　このままでは心身ともに疲れ果てたあげく、誰知らず、孤独死していますなんてこともあるだろう。

　いいことなど少しも思い浮かばない。

　下流中年から下流老人への道をひたすら歩み続けている。

あぁ、何とも嘆かわしい。

　それに比べると世の中、強運な人間もいる。豊洲移転における安全問題や膨張したオリンピックの予算問題などの問題を抱えながら、安倍内閣は高支持率を保っている。何をして、支持されているのか、よくわからないのだが、これまで高支持率を保ってきたのは、首相が森喜朗でないことだけは確かだろう。豊洲のこともオリンピックのこともすべて、安倍総理のイメージで払拭している。ただ、総理には叩き上げのオーナー社長タイプと雇われ社長タイプの２種類があるとして、安倍総理はどちらかといえば、坊ちゃん社長タイプだから、いくら長期政権を続けようともその思想と行動範囲は自民党の枠の中にしかいない。年金をカットし、保険料をあげ、カジノを作っても、弱者は弱者のまま、ほおっておかれる。これからもそんな政治が続いていくのだろう。

　もうひとり、強運な人間がいた。ピコ太郎だ。シンガー・ソング・ライターなのかお笑いなのか、よくは知らないが、「♪I have a pen~」と歌い始める「ペンパイナッポーアッパーペン」の動画が世界中で再生され、Ｙｏｕ Ｔｕｂｅの閲覧回数世界一を達成した。これもすべて、ジャスティン・ビーバーが「ペンパイナッポーアッポーペン」を気に入って、紹介したのが始まりだが、曲も詩も安直すぎて、何が面白いのかさっぱりわからない。個人的には良い人間なのだろうが、こうもバカに運がいいと羨ましさを通り過ぎて、腹立たしくもある。ＹｏｕＴｕｂｅというと閲覧しているとＹｏｕＴｕｂｅｒの動画が出て来たりするが、菓子のとんがりコーンを机いっぱいにならべ、そのうえに乗っかったら、はたして潰れるかどうか、などいう動画を作っていた。ＹｏｕＴｕｂｅｒの動画などこんなのばっかりなのだが、それでも再生回数を見ると８０万回とかあったりして、それだけで８万円くらいは稼げるわけだから、こんな動画で年収何千万も稼いでいるＹｏｕＴｕｂｅｒも腹立たしくなってくる。

　文学とまでは云わないが、漫画にしても漫才にしても、成りあがるために真剣におのれと向き合ってるはずだ。それが「アッポーペン」やら「とんがりコーン」やらで、大金を稼ぐなんて、真摯に生きてる人間に対して、失礼だろう。

いずれ、天罰が下ることを祈っている。

　それにしても今年は映画も不作だった。良かったのは実際に起こった女性監禁事件をモデルにした「ルーム ＲＯＯＭ」だけ。

　作品賞を始め、５冠となった。

　アカデミー賞で作品賞を受賞した「スポットライト 世紀のスクープ」や「レヴェナント 蘇えりし者」で主演男優賞を受賞したレオナルド・ディカプリオ、それに「ルーム ＲＯＯＭ」で主演女優賞のブリー・ラーソンらはどれもこれもイマイチで、今回の受賞からは外した。ヒットしたポケモンＧＯもスマホ持っていないのでどれはどのヒットだったのか実感もなく、興行収入２００億円超えの「君の名は。」も何故、あれほどのヒットになったのか理解できなかった。作品そのものはテンポも良く、けして、悪い出来ではないのだが、それにしても新海誠監督の作品は初めてでなく、他の作品も見ているが、どれもこれも「君の名は。」と似たような作品で、世界観のある作品性とエンターテーメント性において、とてもポスト宮崎駿には遠いように思われる。

　今年、活躍したのは文春とリオデェジャネイロ・オリンピックの日本人選手たち。そして、３０００本安打と日米通算でピートローズの持つ世界記録４２５６安打を抜いたイチローと１０年ぶりの日本人優勝力士となった琴奨菊くらいなものか。

該当者なしの多い１年となった

２０１６年ん
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１６年１２月２８日