s t r e s s
ストレス

　　　◎寒冷・外傷・精神的ショックなどによって起こる精神的緊張や生体内の非特異的な防衛反応。
　　◎また、その要因となる刺激や状況。

　ストレスと無縁の生き方などこの世には存在しない。が、しかし、ストレスがないにこしたことはない。老若男女、地位の高い低いにかかわらずストレスのない人間などいない。例外的にひきこもりというやつがいる。世の中ストレスだらけだから、ひきこもっている。いや、ひきこもりはひきこもりでひきこもっていることに対して、〝俺はひきこもり″だというストレスがあるかも知れない。が、世の中ストレスだらけだから、ひきこもっているのであって、ひきこもっているということに対するストレスなんてものはあること自体・・・ん～、何が何だかわけわかんなくなってきた。要はストレスに強い人間はここぞというときに信用されるし、ストレスに負けてしまうような弱い人間は頼りにされない。それだけのことだ。ストレスに強い人間というのはストレスとの付き合い方がうまい人間だとも云える。例えば、日露戦争のときの満州軍総司令官大山巌には劣勢の状況下、緊迫し、張り詰めた戦場の空気をとっさのジョークで変えたという逸話があるし、毛沢東やチャーチルもそうだ。そういう人間は金にも女にも苦労しなかったりするのだろう。筆者なんぞはストレスに効くツボを刺激したり、アルファ波ビンビンのヒーリング音楽を朝まで寝ながらずっと聴いていたりとかして、何とかストレスと付き合っているが、それでもストレスのほうが勝ってしまうことがよくある日常で、何でこんな人生に生まれてきてしまったのだろうとよく考えてしまう。

　ほんと、なんでこんなことになったんだろう？

　もともと学生の頃からストレスに強いほうでもなかった。いや、とかく学生時代というのはほとんど誰もが自尊的だったり、自虐的だったりといつも不安定な精神状態だった。客観的に自分を判断する材料があるわけでもないので、酒を飲んで愚痴や噂話に花を咲かせてはげらげらと笑っていた。中国の大連で留学をしていたときなどは娯楽も少ない外国での寮生活。ストレスのはけ口といえば、同じ留学生同士のいざこざや噂をネタにどうでもいいことばかりしゃべっていた。とくに犬君なんか随分と積極的で、夜な夜な筆者の部屋にやってきては中国人や中国生活の悪口ばかりだった。犬君は犬君で日本に彼女を置いて来ていたので、精神的に不安だったのだろう。それでも犬君は中国語の勉強だけはちゃんとやっていたが、筆者などは勉強など一切せず、毎日、毎日、「酒席」を開いて、それにストレスを感じたら、旅に出るという留学生活だった。

山崎パンに就職して、１０年目の２００２年、いざこざも６年になろうかとしているとき、ひとり勤務をすることになって、工場の餡部屋で助勤の作業をしていた。就職してから、ほとんどずっとストレスばかりだったが、その頃、ストレスなど少なかった。ストレスもなにも隔離されていたようなものなので、『よっ、元気か？』などと誰も部屋を訪ねにこない。ただただ黙々と作業をしていた。ストレスというより、ただ単に寒かっただけのことだ。（工場の）外に出るときはゴミを捨てに行く時だけだが、そのときは工場の外にあるゴミ捨て場の横に事務所があった工務課の奴らにさんざん笑い者にされた。自分らは何もしてないくせに。あの連中のどこがそんなに立派で、どこがそんなに大事で、どこがそんなに古くからの既得権益だというのか？あまりにおかしくっておかしくってへそで茶が沸きそうだ。辞めされられる間際にそこに戻されたが、「敵」に書いたように『餡子～！』とか、『湯捏～！』とか、怪我も何もしてないくせに物騒なことばかりやっていた。あれは一体、何だったのか？あれも不可思議だ。あんなことをやっていたのは筆者ら、事務方だけで、現場は『餡子～！』だの『湯捏～！』などというアホなことは一切やってなかった。現場でＴＶを観ているといってもおっさんが金魚鉢を眺めていたりだとか、アニータ・サルバラードの事件をバラエティが面白おかしくやっているのをおばさんたちがゲラゲラ笑って観ていたくらいなもので、「イラク」だの「北朝鮮」だのといった大きな政治問題として、誰も観ていなかったはずだ。なのに何であんなアホなことばかりしていたんだろう？当時、誰もかれも（何でこんなアホなことを？）というストレスはいくらでもあっただろう。が、大怪我したなんて大嘘だ。誰も被害者になんてなっていない。ただ、筆者が工場でやられるのを見ていただけに過ぎない。あのときのことを思い出しただけでも筆者のなかの不快指数がぐぐぐっとあがってくるほどストレスになりそうだが、今、ストレスを感じることがあるとするならば、何の意味もなく、何の根拠もない電話がいつもいつもかかってくることだろう。

　いったいぜんたいありもしない大阪の人事のために携帯をかける必然性がどこにあるというのか？

　どこの世界に「無言電話」をかけてもらって、うれしがる人間がいるというのか？

　何をもってのストレスか？バカバカしくてシャレにもならない。

　ス～とレス！

　　２０１２年２月３日